丸太のケーキ

「ここまではとりあえず良い?」


「………うん。ごめん。」


丸い天板を抱き締めたまま謝る彼女。


「俺もごめんな。まさか中身を聞いてたなんて思わなくてさ。」


首を横にぶんぶん振りながら、それでも元気はでないらしい。

ちょっとした食い違い。

どうやら、薄い四角に焼いた生地を丸めて丸太が出来上がるらしい。

だんだんおかしくなってきて、つい、吹き出してしまった。


「ぷっ……ごめ……クックックッ……」


一度笑い始めると、もう止まらない。


「……笑わないで。」


小さな声で抗議する彼女を見ながら、もうこらえきれなかった。

笑い続ける俺を見ながら、最初は文句を言いたそうにしていた美羽。

でも、次第につられ始めた。


「レンジが丸くてもね、オーブン皿は四角のもあるんだよ。だからもしかしてって……」