「今が良いと思ったんだ。 きっと、早いほうが良い」 真面目な彰は、アタシを真っ直ぐ見た。 迷っていたような顔は、もう決心したようになった。 「……歌依、俺らさっ 別れたほうがいいと思う」 ガシャン アタシの中で何かが割れた。 「……なに、言ってんの?」 アタシのかすれた声が静かな図書室に響く。 外では、急に風が強く吹いた。 アタシの心のように。