「永都さぁ、何者?」
アタシが言うと永都はマヂか、と言って床に座った。
「…うん。
なんかゴメンね、あんなに尊敬してたのに」
「いや、俺は大丈夫だけど姉ちゃんのほうが…」
永都はアタシを心配するように、自分の髪をくしゃくしゃした。
ぶっきらぼうだけど、人の気持ちを分かってくれるいい弟なんだよね…。
「まぁ、今は引きずってるけど」
「引きずってもいいと思うけどな。
人を好きなことは悪いことじゃないだろ」
「…そっか」
アタシの声がちっちゃく響いた。
でも、前を向こうって決めたから頑張らなきゃ。
「姉ちゃんは無理矢理な顔つくったらすぐバレるんだからそのままでいいんだよ」
永都はそう言って部屋から出ていった。

