事の始まりは突然やってきた

「雛乃ちゃ~ん、引き取ってくれるお家見つかったよ~」

台風のように

「ちょっと待って!私ずっとここにいるつもりだったのに」

私は施設にいる。わけがあって・・・。もう10年はいる。いるはずだったのに!

「それがね、どうしても雛乃ちゃんを引き取りたいって言われたの。理由は知らないけど」

はあぁぁぁ!?

「嫌だよ私。知らない人の所なんて。高橋さんだって知ってるでしょ?」

もう嫌だよ

「・・・じゃあこのままでいいの?」

「えっ」

「このまま心を閉ざしたままで雛乃ちゃんは幸せになれると思ってるの?」

幸せ・・・

「私達も考えたわ。でもね、雛乃ちゃんを自由にしてあげるにはしょうがないの」

自由・・・

「てな訳で、さあ引越準備するわよ~」

「ちょっと!今の重い空気、最後の言葉でものすごく軽くなっちゃったけどこれでいいのか?!」

「気にしな~い、気にしな~い」

「・・・」

でもありがとう。



私、引越しします!