昨日と同じ時間に、病室を出て、屋上に向かう…
心なしか、気持ちがウキウキしている…そんな自分が面白かった。

屋上の扉を開けると、既に陽翔君が来ていた。私を見て、ニコニコする陽翔君…子犬の様に人懐っこい笑顔に、気持ちが癒されて行く。

『稜子サン、遅いっすよ(笑)』

『私は昨日と同じ時間よ(笑)陽翔君が、早く来過ぎたんじゃない?』

『アハハ、そうかも♪何か、見舞いに来る奴等、口を揃えて【頑張って】とか【早く良くなって】とか…あからさまに他人事で…嫌気がさして来る』

『…いいじゃない』

『え?』

『見舞いに来てくれる人が居るだけ、幸せな事よ?誰だって、自分の身に降懸らない病は、他人事なのよ…苦しみは本人しか感じ得ない…それを健康な人に言っても、実感湧かないから上っ面だけで、心配する素振りを見せる…そんな事されるより、ただ会いに来て、楽しい話をする方が良いでしょ?』

『………やっぱり、稜子サンの話って、何か心に染みる…』

陽翔君は、そう言って、悲しそうに微笑んだ。