夢を見た…
暗い暗い闇の中…

はるか前方に、温かい光が見える…

その光は優しく眩い…

ふと気付くと、笑顔の稜子サンが、俺に手を振りながら、光の方に歩いていた…

…そっちに行かないで…

叫びたくても、声が出ない…稜子サンの手を掴もうと、一生懸命伸した手は、空を掴むだけ…

行かないで…行かない…行くな…行くな

強く願っても、稜子サンは足を止めなかった…

どれだけ追い掛けても、稜子サンとの距離は縮まらない…


気が付けば、稜子サンは暗闇と光の間に立って居た…

…駄目だ…それ以上行くな…


泣きながら、声にならない叫びを吐き出す…

ゆっくりと稜子サンは振り返り、俺に向かって何かを言った…声は聞こえない…