ベッドサイドボードの上には、あの日、稜子サンと撮った写真を飾っている。

見舞いに来る奴等や家族に『誰だ?』って聞かれまくったが、言ってない(笑)誰にも、教えたくないんだ…

二人だけの出会い…二人だけの想い出だから…そっと…真綿に包む様に大切にしたいんだ…


ふと壁にかかる時計に眼をやると、もうすぐ2時半になろうとしていた。いつも、稜子サンの病室に着くのは3時…まだ早いけど…


『そろそろ…出ようかな(笑)』


…どんだけ離れた病室なんだか(笑)…

ゆっくり歩いても、5分と掛からない距離なのに、30分前に行こうとする自分の行動が、滑稽でならなかった。