明け方、私は体を切り刻まれる様な、壮絶な痛みで目が覚めた…


『がっ…カハッ…っく…』


…落ち着け…落ち着け自分…大丈夫…落ち着けば平気…


痛みに堪えながら、落ち着こうと自己暗示を掛ける…


しかし、そう簡単に治まる痛みでは無い…


徐々に意識が遠のく…目の前が暗転する…



私は、一本の藁に縋る思いで、ナースコールを力無く押し、気を失った…


…………………
602号室…俺は、自分の病室で、稜子サンに会いに行く時間を、待ち遠しく思っていた。
いつも、自分の気持ちが先走り、意味無く一階の売店に行ったり、稜子サンの病室の前で時間潰ししたりしていたのだ。

あの日、屋上で稜子サンに出会って…俺は、飾り立てない物言いの稜子サンに惹かれて行った。

17歳の高校生が、大人の女性に…恋をしたんだ…

当然、相手にされる筈もなかった…いつも子供扱いされ、流された…でも、それで良いんだ。毎日、稜子サンと何でも無い話が出来るから。