朝、眼が覚めると、外はまだ薄暗かった…

そんなに早起きしたのか?

そう思い、壁にかかる時計に眼をやると、朝の8時を迎えようとしていた…

窓の外に視線を移す…空からは雨が、霧の様に降り注いでいた…


雨だから、会うのは延期?それとも…雨…上がるかな?
ぼんやり見上げる、灰色の空…

どうか…雨が止みますように…


時間が経つにつれ、雨は激しさを増す…

きっと…もうすぐ、この世を去る身…これ以上、陽翔君に会える楽しみを味わらない為…私がこの世に未練を残さない為…神様が雨を降らせているのかもね…

でもね…もう手遅れだわ…

陽翔君の笑顔を見た時から…私が死んだら悲しいって、言ってくれた時から…
私の心は、陽翔君に縋ってた…


この歳で、自分の半分程しか、人生を歩んでいない陽翔君に、私は心を奪われて居た…

…否…

『恋に恋した…おばさん…だな』

初めての感情に、思わず鼻で笑ってしまう…