『ハハッ…でも、




やけにアイツを気にかけているよなぁ?』



最初の煙草を消して二本目へ手をかける



「別に………アイツが迷惑をかけるような事ばかりするからだ」


田渕から視線を逸らして淡々と話す笹倉


『へぇ…』


答えるとき


少し間があいたのを田渕は見逃さない





   ・・・
『まだあの事を気にしてる訳じゃないんだ?』


笹倉の顔を掴んで無理やりこちらへ向かせると



煙草をくわえたまま口角をあげて嘲笑した



「……ッ!!」


一瞬大きく目を開いたかと思えば



すぐに敵を見るような目つきに変わる


「なんだ、図星か?」


「お前には関係ない!!」


声を荒げながらキッと睨み付けると思い切り田渕の手を振り払った


怒りか恐怖なのか分からないが、手が小刻みに震えている


「…もういい。俺一人で探しにいく。お前はそこで一生煙草でも吸ってろ」


田渕を見下すようにそう吐き捨てると



男達を押しのけて柳井達が向かった通路へと消えた





『…つれないなぁ』


空になった手をしばらくぶらぶらと揺らして

やがて手のひらを上に向けた


やれやれ、と


首を左右に振る仕草をすると


笹倉の行った方向をただなんとなく見つめて口から煙を吐いた





ゆらゆらと揺れながら煙は上へ上がっていき





やがて見えなくなった