「ねぇ…ヤバくない?」

「あぁ、ヤバいな」



出口をでた私達の第一声はなんともいえない情けない声だった


なんで気付かなかったんだろう




堂々とみんなが通る出口から出てしまったのが大きな間違いで

今人気絶頂のバンドグループが歌っているっていうのに警備員やらボディーガードさんがいない訳がない事に今更気付いたが


後の祭り



今、私達は

目の前で立ちふさがっている男達のせいで身動きがとれないでいる




1…2…3………


10人もいる!?


いくらなんでも多すぎでしょι



「…笹倉さんも考えたな」


小さく舌打ちをして、未だ微動だにしない男達を睨み付ける



笹倉…?

誰だろう


私は柳井の後ろに隠れると、顔だけ覗かせて様子を窺っていた