ヘアスタイリストさんに髪型をセットしてもらっている途中笹倉さんが鏡越しに映っているのに気がついて恐る恐る振り返れば



「早くしないとぶっ殺す」


満面の笑みで脅されれば、もう髪型なんどうでもよくなって勢いよく立ち上がると死に物狂いでステージ裏の方へ走った



――――――――…‥


「ゴメ…待たせ…た…」

全速力で走ったおかげか、あっという間にたどり着いて


俺は着いたのと同時にみんなに向かって息切れぎれで謝った


「早かったな。結構大変だったんじゃないか?」


ヒロはびっくりしたような感心したような顔をして俺を見る

「ええ…まぁ…」

俺は何となく言葉を濁した


笹倉さんの黒い笑顔が頭によぎって思わず身震いをしたからだ



「なんか…斬新な髪型だね♪」

ナツは俺のボサボサ頭を指差してクスクス笑う


「うるせー」


悪態つくナツの頭を軽く小突けば何故か嬉しそうな顔をする

「なんだよι気持ち悪い」

怪訝そうな顔で見ればナツはプクッとフグのように頬を膨らまして


「ヒドッι俺はカズが元気になって嬉しいの!!…さっき少し元気なかったから」


そう言って俺の顔色をうかがうようにやや上目遣いで見た




「…ナツ」


意外と見てんだよなぁ

コイツは