「たくさん拍手貰えるようにおまじないかけといた。」


悪戯っこのようにわらう。


「俺にもかけてくんない?」


「おまじない?」


「そ。おまじない。台詞とびませんように、と、震えませんように、と、こけませんように、と、あと」


指折り数える俺の手をそっと包み、少しだけ背伸びした。


「無事に終わりますように。」


頬にかけられたおまじない。


「ありがと。頑張ります。」


きっとうまくいく。

そんな気がした。










手を振って帰っていく後ろ姿を見送りながら、幸せに代わり、一気に押し寄せた緊張。

おまじないがかかった頬に手を当て、自分にもう一度おまじないをかける。


「大丈夫。やれる。」