「しばらく逢えない。」


「え?」


翌日の早朝の事。

いつもの朝の散歩での台詞。

訳が分からずに俺を見つめる瞳。


「ちょっと業界の汚い渦に巻き込まれちゃったって感じ。」


心配そうに瞳が揺れる。


「正直に言うよ?」


「うん。」


不安そうな様子に言葉を選ぶ。


「先月、新しいドラマの共演者と顔合わせがあったんだ。夕食も兼ねてね。」


「ドラマ始まるの?」


「舞台終わってから撮影が始まるんだ。放送はまだ先だけど。」


「へぇ。」


楽しみだね。

そう、瞳が言っていた。

その瞳だけで、少し楽になった俺。

単純すぎだろうか?