その頃からあの人を「父」とは見なくなったし、思わなくなった。

昔の事が走馬灯のように過ぎてゆく。

私には「父」はいない。

自分に改めて言い聞かせ、床につく。

…何も考えたくないから。

みんなみんな…全部。












ドンドン!!ドンドン!!
ピンポーンピンポーン!!

…朝からこんな事をするのは1人だけ。

「…うるさい、真奈美。近所迷惑って何回言えば分かる?…」

ガチャっと扉を開け、不機嫌極まりない顔をして言う。

「陽菜こそ!!何回早起きしてって言えば分かるの??」

その言葉を無視して私は準備するために一旦家に戻る。

「陽菜ぁ~!!早くしてよねぇ~!!」

ドア越しに叫ぶ真奈美に、

「だから近所迷惑なんだって…」

そうボソッと返した。