「もしもし。」

『よっ!今暇かあ?』

あたしとは全く違う元気な声で話している隆盛がちょっと羨ましい。

「暇じゃないーぃ…」

『なんか声枯れてねぇ?』
「風邪ー。もーしんどいー!」

『飯食った?』

「食べて無い…」

『馬鹿かお前はっ!ちゃんと食え!』


隆盛の後ろでは、犬の泣き声がして、自宅に居るのが分かった。
きっとあれは愛犬のピックちゃんだろう。


「怠くて動けないしー…隆盛どうせ暇でしょ!作りに来てー。」

『はぁん?暇じゃねぇよ。でも美香が可哀想だから行ってやるよ。』

「…やっぱ暇なんじゃん。」

『いいんだ?』

「…ごめんなさい。」

『じゃあ今から行くな。』

そう言う隆盛にうん。と伝えて、電話を切った。


なんか喋り過ぎて、さっきより頭が痛くなった様な気がした。


ベッドに横になって、眉間に皺を寄せながら目を閉じた。





…どれくらいたっただろうか。


家の呼び鈴が鳴って、また痛い頭を押さえながら、玄関にノロノロ行く。


覗き口で隆盛だと確認してドアを開ける。