浮気は昔から嫌いだった。
ドラマや映画、小説。
見る度に苦しくなって、実際に浮気をされている感覚に陥る事が幾度なくあって、絶対相手を傷付ける浮気なんかしないし、されたくもない。
子供の頃から、ずっと、ずっと……
感じてた思い。
そして、
浮気されたらすぐ別れる。
子供の頃誓った思いは、将来実行される事がなく、
その浮気をしている彼と、私はまだ持ち続けている。
「おーい。美香ちゃーん。」
末木さんがあたしの顔の前に手を散らかせ、それで顔を上げた。
「あっ…ごめんなさい!今日はもう帰ります。わざわざありがとうございました。」
ちょっと頭を下げて、お礼をする。
末木さんはニコリと笑い、
「いえいえ。また、うちの店に来てね。美香ちゃんなら半額にしてあげる。」
「本当に?ありがとうございます。」
またちょっと頭を下げて、あたしもニコリと笑った。
ねぇ啓介、今何してる?
どこに居る?
なんで連絡くれないの?
行けないなら電話位してよ。
あたし、啓介の彼女でしょ?
