「友響ちゃんは屋上には来続けるんだ?」
「うん。元々ここが好きで来てたんだもん」
「…そっか」
「それに…」
言いかけてちら、と隣の顔を横目で覗いた。
「ん?」
授業では相変わらずの『いい顔』っぷりだけど
ここでは少し和らいだ表情を見せる。
放課後の解放感のせいか
屋上に吹き抜ける風のせいか
夕暮れ時のぼやっとした空気のせいなのか。
だけど私もいくらか感化されてるみたいだ。
ここに流れる優しい雰囲気は
はちみつのようにとろりと心を溶かしていく。
「…案外悪くないね」
でもまだ言ってあげない。
「…何それ何がいいの?」
「相模のその髪色。いいな、染めようかなぁ」
「ちょっと友響ちゃん?話噛み合ってないって」
「相模との会話なんていつもそんなもんでしょ」
「そ…うかもしれないけどさぁ…」
今は敵わないままでいい。
私はまだ
動き出しただけに過ぎないから…
「あ、相模。電話番号教えて」
「電話?掛けてくれるの?」
「夜中に解けない問題があった時用に」
いつか言えるようになるまで
「友響ちゃん大分鬼畜だね…」
放課後の顔は私だけに見せててね。
-fin.-

