面白いもの以上の情報に、思わず感嘆の声を上げた。
そうなんだ…
皆は黙って見ててもかっこいい、的な男でも好きになるのか…
そんなの漫画やドラマの世界でしかないと思ってたけど。
「ていうか友響、そういう情報に疎すぎ」
「だって智香が色々仕入れて教えてくれるから詳しくなる必要ないもん」
「じゃあ情報料として何かくれても構わないよ?」
言いながらおどけて手を出す智香。
「調子いいんだからぁ」
私はその手を軽く払って、何かあったかと鞄のファスナーを開けた。
「そういや智香はなんで部室棟にいたの?」
「あったかい飲み物が部室棟の自販に入ったから買いにいったんだ。
まさかの収穫にびっくりしたけどねぇ~」
身体に隠れて見えなかったけど、智香の机にはミルクティの缶が置いてある。
彼女の性格からして、きっと一部始終を見終えた後で、わざと買ったに違いない。
思い掛けない音と人の気配に驚く相模の姿なら、ちょっと見てみたい、なんて思った。
「ちゃんと見られないようにした?」
「そこで見られちゃうような智香サンじゃありませんよ~。
当たりのメロディが鳴らせなかったのは残念だったけど」
ふふん、と得意そうに頬を緩ませ、それにつられて私も笑う。
「じゃあここはひとつこのチョコレートで」
「うむ。苦しゅうない」
袋に包まれたそれを渡し、
顔を見合わせ声に出して笑ったところで、始業を告げるチャイムが鳴った。