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いつもならホームルームの後真っ直ぐ向かうはずの図書館にも行かず
部室棟の自販の傍で彼を待った。

学校に来てるかどうかは知らない。
だけど逢わなきゃ…
そう思っていると

校舎の中から男子の集団が部室棟に向かってきた。


その集団から少し離れて
集団に入ろうとするでもなく、影を落とした彼を見つける。


財布から小銭を出して握り締め、彼の視界に入るように自販の前に立った。
小銭をカウントする音がして、ペットボトル以外のボタンが灯る。
集団の話し声と笑い声が横をすり抜けていく中で
ひとつの足音が背後で歩みを止め

私はゆっくりと振り返った。



「森見くん」
「橘先輩…」



今にも泣き出しそうな表情で
私の前に立ち尽くしてる。


「昨日はすみませ―」
  「ね、何飲みたい?」