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瀟洒な雰囲気のマンションの廊下を相模の背中を追って歩き
やがてひとつのドアの中へと促された。
案内されるまま通された部屋は思っていたよりもずっと広く
たっぷりとしたリビングダイニングとキッチンがある。
床に近い生活が好きそうな、全体的に低めのインテリアは
モノトーンとシルバーで統一されていた。
暖色系の照明が灯る中、綺麗に整頓された室内。
ミント系の芳香剤の香りが満たす。
奥のロールカーテンの向こうはベッドルームだろうか…
「リビングで適当にしてて」
相模はネクタイを外しながらそう告げるとキッチンへ消えた。
言われた通りリビングへ向かい、床に鞄を置いて
ベランダの向こうに落ちた夜を眺める。
先程よりはいくらか落ち着いてきた。
悔しいけどこればかりは、相模のお陰、なのかもしれない。
なんて思っていると、私の背後に窓に映り込んだ相模が見えた。
「あ、そのままカーテン閉めてくれる?」
両手には湯気の立ち昇るマグカップ。
ソファの前の低めのテーブルに乗せ、相模が腰を下ろす。
私はまた言われるがままにカーテンを引き、少し離れてソファに座った。
甘いアップルティーの香りが鼻孔をくすぐる。
ちらりと相模を見ると飲むように手で促され、ひと口啜った。