放課後ハニー



ガチャガチャする音は恐怖も掻き立てたけど
同時にその間は何もされない。
いっそ今唸り声でも大きく上げたら…

そう思って彼を見ると、今度は静かに私を見下ろしている。
声を出すな、と目が語り、人差し指が2回、彼の唇を叩いた。


その内扉を開けようとしていたその音は消え、気配が遠のいていく。
再び訪れた静寂には、規則的な彼の息遣いだけが残った。



「残念でしたね」



口元を歪めて、彼は言った。



「一目惚れだったんですよ、実は。基哉先輩と付き合ってるってのは
サッカー部入ってすぐに知りましたけど。それでも好きだったんです」


今度はさっきみたいに力が緩むことはない。


「基哉先輩、そんなこと知らないで俺にも皆にも聞かせるんですよ。
諦めようと思ってても、基哉先輩をそこまで惚れさせる橘先輩のことが気になってしょうがなくて」


淡々とした口調で私に聞かせるように語る。
どうやら先ほどの来訪者のせいで冷静さを取り戻したらしい。


「なんでですかね。聞きたくないのに先輩のことが知りたくて聞いてしまうし、
一緒にいるところなんて見たくないのに先輩が見たくて見てしまう。
だから基哉先輩が亡くなった時、悲しかったけど嬉しくもあったんですよ」
「―っ!」


彼の手がゆっくりとセーターのボタンを外していく。


「もしかしたらその弱みに付け込めるかもしれないって」


丁寧に前をはだけさせると、セーラー服の裾の中にそっと手が滑り込んだ。
手が直に肌に触れ、ゆっくりと確かめるように這う。


「もしかしたら俺にも慰めることが出来るんじゃないかって思うじゃないですか」