放課後ハニー



彼の手が私の口を塞ぎ、
支えるものを失くした私はそのまま椅子に頭を押し付けられた。
トクトクと悠長に缶の中身が流れる音がする。
空いてる左手で彼の腕を掴んでみるも、ビクともしない。
足で抵抗を試みようと思ったけど
余計悪い状況になってしまう。

そんなことを考えてる内に、彼の身体に組み伏されてしまった。


「全くもってその通りみたいですね。先輩も…基哉先輩も」


目を見開いて見た彼の口元は笑っているのに
目は焦点を失くし笑ってもいない。
通じるとは思わないけど、ありったけの怒りを込めて睨み付けた。

私はともかく…
基哉も?


「そんな顔しないで下さいよ。酷いなぁ…」


どっちが、と言ってやりたいのに
この手がそれを許さない。


「わからないって顔してますね」


一体何が言いたいの?

逸る気持ちと同調して、左胸の振動が全身に伝わってくる。
恐怖と焦りが身体を強張らせて
彼以外のものが見えなくなる。

話すだけならこんな事しなくていいじゃない。
なんでこんな―っ



「俺、橘先輩のこと好きだったんですよ」