放課後ハニー



「なんだか不思議な光景って感じです。橘先輩がここにいるの」
「ほんとだね。私も不思議な感じ」


椅子の上に鞄と腰を下ろし、紅茶のプルトップを開ける。
恐る恐る口を付けたけどどうやら少し冷めてくれたらしく
二口ほど飲み込んで机に置かせて貰った。


「基哉先輩、普段は全然橘先輩のこと話さなかったんですよ」


森見くんが鞄を下に置いて私の向かいに座り、思い出すように話し始める。


「いつも話すことなんて大抵馬鹿話です。バイト先のコンビニに来た変な客にあだ名つけたとか」
「あぁ、ツナマヨおにぎりばっか買ってく全身黒尽くめの人を『黒ツナマヨ』みたいな?」
「そうそう!あと部室のどこかに秘蔵本隠したから見つけたらやる!とか」
「やだ、そんなことしてたの?」
「下らないでしょ?でもやっぱみんな探すんですよ。で、見つけた本のタイトルが『秘蔵心霊写真』」


その時の皆の呆気に取られた顔を想像して、思わず声を出して笑った。
そしてその顔を見ながら基哉もまた笑い転げたんだろう。
それを語る彼も笑いを噛み殺している。


「あながち間違ってもないから結局皆で大笑いですよ」
「うん、凄く楽しそう」
「でも、橘先輩のこと突付くと、全然違うんです。話し方とか表情とか色々」
「どんなだった?」