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…とは言ったものの。
そんな簡単にどうにかなってくれる程
単純な話ばかりではない。
勉強する気も起きなくて
図書室に向かい掛けたその足で
部室棟の自販の前に立った。
「本当に嫌だったら最初から拒絶する…」
智香が言っていた言葉をそのまま繰り返す。
つまり嫌っていたつもりでも別にそんなことはなくて…とか?
苛々してたのはただの意地?
でも実際ムカついたのは紛れもない事実で…
大体キス…された時も
私は頬を叩こうとした。
掴まれて未遂に終わったけど
それでも嫌じゃないと言えるの?
その時の気持ちなんて思い出せる訳もなく
空を掴むような気分でいっぱいになった。
そんな瞬間、
部室が並んだ向かいの広場で
誰かと共に談笑する相模を見つけた。
どうやら今日は告白されてた訳ではないらしい。
角刈りでジャージ姿のあの人は、確かサッカー部顧問だったかな…
その2人はそのまま部室棟の脇を素通りし、校舎の中へ入っていく。
私はそれを横目で眺め、お財布から小銭を出して投入口に放り込んだ。
500ペット以外の飲み物のボタンが全部灯り
迷わずストレートティーのそれを押す。
それと同時にピピピピピ…という電子音が鳴って
『あたり』のひとつ手前で止まった。

