空元気っぽい。
自覚もある。
授業も会話も上の空で、右耳から左耳へただ流れていく。

なんとか目の前の現実に向きあおうとしても
すぐに声が遠くなってしまう。
物理がないのがせめてもの救い。



…昨夜は8時前には家に着いて
テストの答案にあったメアド宛に『着いた』とだけ書いたほんとにそっけないメールを送った。

相模からの返信も『了解』だけで
その返事はしなかった。

久し振りに自分の内部的な話をしたせいか
変にすっきりしたと同時に
私を襲う不快感。


お陰でこの通りほぼ無心。
そして


「友響」


昼休みを迎えた目の前の友人は
それを素直に許すほど甘くもない。


「何?」
「ちょっと面貸しなよ」


いつの時代のヤンキーよ…
なんて言いたくなったけど、さすがにそれは憚られた。
『空元気なのはバレバレなのよ』オーラが全身から漂っていて
軽口や冗談が受け入れられそうにない。


相談とかするのって正直苦手。
だけど

もしかしたら
いい機会なのかな…


お弁当袋を持ち上げて教室を出ようと促すと、智香も席を立つ。
どこか人の来ない場所。
加えて説明のしやすい場所。
そんなの学校中探したって一箇所しかないじゃない…


「智香。今から行く場所、内緒にしてくれる?」


きょとんとした後智香は頷き、私に続いて階段を昇った。