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「友響おはよ!」


席につく前に智香は私の姿を見つけ
大きく手を振った。


「おはよう。どうしたの?ご機嫌じゃない」


鞄を置いて椅子に座るのを、智香は待ちきれない様子で見る。


「みてみてこれっ!」
「何?」


嬉々として智香が見せたのは、左手の甲。
薬指に昨日までなかった指輪が光っている。


「へ~ぇ、ついに彼氏に貢がせたんだ」
「ちっがーう!昨日は半年記念日だったんですー」
「知ってるよ」


くすくすと笑いながらそれを眺めてみる。
ちょっと太めでクロスが掘り込まれたシルバーのリング。
きっとペアなのだろう。
なんとも嬉しそうな智香の表情が眩しいほどだった。


「もう半年か。いい感じに続いてるよね」
「気長だからねぇ~。仲良くやってます」


明るい茶色の長い髪を照れ臭そうに指先で弄ぶ智香は
私から見ても可愛いなぁと思う。
つられたように私も顔を綻ばせた。

彼女の彼は、バイト先の2歳年上の人らしい。
一度逢ったけど、優しそうな人だった。

そうだよな。
私たちくらいの歳で付き合っても釣り合いが取れるのは
精々5歳上くらいまでじゃないのかな…。


「友響は?」
「ん?何が?」
「恋愛、まだする気にならない?」