どっと来る疲れから、目的の図書館は遠く遠く長い道のりに感じられた。三日間歩きっぱなし、正直疲れなんて無い。
おなかの空腹は二日目辺りは激痛だったが、今日の朝。三日目はなんともなった。ある意味に危ない状態だと察したのは、ついさっきだが。
重い足取りで、たどり着いた魔術図書館。開放感に満たされつつ、ドアに手を掛ける。
「あれ、開かねぇ…って、えぇぇぇぇ!? 一週間の休館だとぉぉぉぉぉっ!!!!」
ドアの前に設置された札に向かって叫ぶジルクは、その場でへなへなと腰を落とす。
三日かけて砂漠を通ってきた苦労は今、ジルクの中で音を立てて崩れていく。
「俺が何したって言うんだ。はっ、まさかさっきの女の子の傷つけたから!?」
ジルクは超能力者ではなく魔術である。しかし、蘇る少女の涙と罪悪感はテレパシー以上に鋭く彼の頭を埋め尽くす。
「―この後、どうすっかな」
肩を落とすジルクはとぼとぼと歩き出した。