(あ)

「…さ、斎藤く…」

すれ違う瞬間に、勇気を振り絞ってどうにか声を掛けたけど。

スッ。

まるであたしなんて視界にも入ってません、って感じで、斎藤君がすれ違ってく。

(…え?)

そのまま廊下を歩いて、昇降口へと向かってく後ろ姿を、あたしは呆然と眺めてた。