僕には男女を区別することが出来ない。
 
何かの比喩ではなく、本当に見分けがつかないのだ。道で出会った野良猫を見て雄だか牝だか違いが分からないかのように、人間の男と女を見ても〈人だ〉としか認識できない。
一緒に住んでいる『あの人』も例外ではなかった。だけど僕にとってはそんな事どうでもよかった。僕はその人のことが大好きだったのだ。その感情の前では性別なんてポテトチップスくらいのもの、なんて考えていた。
その人はいつも僕に尽くしてくれた。その人も僕のことを大切に想ってくれているようだった。僕はますますその人のことが好きになった。