「荷物はこれで全部です」
『ありがとうございました』


人を信じれない歴、15年。
彼氏いない歴、15年。
…両親がいない歴、10年。

そんな日々を過ごしてきた女の子とは
おそらく、浅田美峰…私しか
いないだろう。


人なんて信じなくていい…
そんなの常識。
笑顔なんていらない…
当たり前。
親なんていらない…
もちろん。

友達なんて一度も出来たことがない。
…いや、作らないだけ。

あんなキャーキャー騒いでるのを見ると、
イライラする。

強気だけど。

私は高校生になるまえに
一人暮らしをすることに…

それまでは、おばちゃんの家に
住ませてもらっていた。

おばちゃんは、すっごく優しくて
笑顔を見せない私を
気にかけてくれた。
…でも笑顔の作りかたを
忘れたから見せれない……。


私の両親は…どこか行ってしまった。
私が産まれてくることを
望んでいなかった両親は、
私に愛情をくれたことはなかった。


あー…確か前に言われたことがある。
「産んであげたんだから感謝
しなさいよ」って。

普通、五才児に言う言葉じゃないよね。

ちょうどその日に、なんかの用事で
おばちゃんがきて引き取られたんだ。
……懐かしいな。


『って、早く荷物整理しなきゃ』
とか誰もいないのに呟いてみたり。