「おやつ?
屋敷に、置いてない物なの?」


「貴方の会社の物ですよ」



 クジルの問いかけに、少しめんどくさそうな顔のシルディ




「(実際は表情に出ないから、そんな感じがする。っていう感じなんだけどね)」



「僕の会社・・・・Vivienneこと?
(え?なんか・・・・Vivienne名前が出た瞬間、メリ−嬢の目が輝いた気がしたんだけど……いや、輝き続けているよ…)」




「僕の会社って…もしかして通称社長のバ−二−さん!?」


「………。どこからそのニックネームがきたの?
まぁ成る程ね、なんでシルディ君が僕を呼んだのか分かったよ。」




 視線をやれば、ボケ−っと空を見ている




「と、言いますと…?」



 メリーが訊ねる



「Vivienneは魔界と人間界、どっちにも売り出してるんだ。
この世界は不思議なことに企業と戦争は別物。


魔界の企業が人間界に進出することもあればその逆もある。


もちろん魔族が立ち上げた会社だから、嫌う人間もいれば、それの反対もあるけど、ここは仲良くやっている。


食品に戦争の恨みを…などというのはご法度の暗黙のルール。不思議なことにこれはどちらも破らないのよ。」


「それの何が、クジルさんを呼ぶことになるんですか?」



「…………(さっきまで自分に殺意を向けていたのに、こうも食べ物一つで態度が変わると…調子が狂うな)」



 クジルが苦笑いをする





「魔界では、魔族の口に合うように作られているんだ。だから、人間のメリ−嬢が食べるなら僕の屋敷に置いてある人間界に売り出してるのをあげないとね。」


 あぁ、成る程。と疑問が解決する




「要は魔界に売ってる物には、血やら何やらが含まれてるから私には美味しくないってことですね!」




 包み隠さないメリ−のお陰で、クジルが伏せて言ったのが台無しだ



「ははっ!!
まったく…君はキャリアに似てるよ。」



 憂いを帯びた目



「行こうか。…僕の屋敷でキャリアの話しもしよう。」