心臓が一人でに踊りだす




「公爵家が何故、侯爵家と違うのか」





 一歩一歩、計り知れない恐怖が近づく





「おいッ!お前達逃げるなァッ!!」




 早足に去ろうとする部下を止めるが、次の瞬間───部下の動きが引きつる





「僕の話しを、…最後まで聞いて行かないのか?」


「ひっ……」





 小さく悲鳴をあげる彼らの足元には、大地が巻き付いてる




「君たちはなぜ公爵の地位に、5つの家系からなる公爵常連の地位があると思う?」




 また一歩、ソルトに近づく





「水、大気、大地、雷、火」


「始祖能力……」



 また一歩




「そうだよ。バカな君でも、それくらいは分かるようだね」




 青ざめたソルトの顔



 もう彼に闘う意欲はないだろう





「公爵常連家は、全ての力が使えるのが基本。
5つの家系にはそれぞれ異なる始祖能力を、一つだけ得意とする力がある。僕のセルアント家の場合は、“地”。ヴァクロイツ家は“大気”。」




 理解できたかな?と、笑顔のクジルの目と鼻の先にはソルト




「僕達は五大公爵だ。
出過ぎた行動は謹むことだよ。」






 刹那。


 ソルトを含む特殊部隊の者が消える





「えっ?…何処に飛ばしたの?」


「なあに?ソルト公爵の心配?」


「案じなくても、特殊部隊の本社に帰しただけですよ」


「シルディ君の言うとおり!五大公爵だからと言っても、やたら同族を殺ししちゃうと後々厄介だからね」




 やれやらと言ったように一仕事終えたクジル





「さて、何する予定だったんだっけ?」


「お嬢様のおやつのお買物。」




 ポツリとそう答えたシルディに、メリーは肩身の狭い思いをする



「我が儘言ってすいません………」