今まさに想っていた想い入れのある人物の名をあげられ、メリーから殺意が流れだす





「彼女を堕としたのはお兄さん…?」




 初めてシルディに向けた殺気。



彼の所有の者のあたしが、殺意なんか向けたら殺されると思った。



だから死ぬ気でいたのに







「その様子だと、仲がよろしかったんですね。」


「・・・・・・・・」



 答えないシルディに殺意が増す




「・・・・・・・もう一度訊きます。
キャリア・プラント。彼女を堕としたのはシルディ公爵、貴方ですか?」




 ご丁寧に持ち前のトランプに手を触れながら問う


 溢れだした力のあまりに、メリーの手の皮膚がペラペラと捲れる










キンッツ!!!!!






 背後に現われた黒いマントの男に、瞬時に針を投げたが、剣で防がれる





「すごい覇気醸し出すね。彼女を堕としたのは僕だよ…メリー元帥」




 静かに言い渡される





「…なんでッ!…彼女を選んだんですか?」




 次の攻撃に備えて叉遊漓を開いたり閉じたりする




「落ち着いて下さい、メリー嬢。
堕ちは彼女が望んだことですよ」


「そう仕向けた。の間違えでしょ?
・・・・・・・上流階級のバンパイアには、心を操る能力があるはずよ」




 薄く笑い、男を睨みながらシルディに言う






「違う。」


「!!」




 認めない男に苛立ちが募る




「何が違うんですか。
お兄さんは“堕としたのは僕”だと、その口から言った!!!!」




 男は何を言っても、俯いたままこちらを見ようとしない




「・・・・・・・・・お嬢さんは、彼女と恋人だった僕が、彼女の堕ちを許すと思う?」

「!!!」






 悲しみに満ちた声

 死神に囚われた目