「・・・ねぇカウディ。
さっきのシルディ様、見たぁ?」
「・・・・・ああ。」
「あのシルディ様が笑ってた……んだよ…ね?ロシード」
「・・・・・笑ってたな…」
驚きのあまり続かない会話
「オレ、初めてシルディ様が笑う姿見たぞ」
「バカだなスンネは…。
僕達だって初めて見だよ」
フアルクのわざとらしいため息
「いい傾向なんですかね?」
「シルディ様にはいい傾向に決まってるわ!! けど…」
カウディの問いに始めこそは勢いが良いものの、その後が詰まる
「けど、それがシルディ様の隙となり、破滅に向かうきっかけになる。って言いたいんだよな?ロシームは。」
ロシームの頭に手を置きながら、彼女が言おうとした事を引き受けた片割れ
「破滅、…ですか。」
「シルディ様には敵が多いーからな。
一寸の隙が破滅になりかねないのは、ここにいれば容易に想像がつく。
だから、シルディ様は隙を見せない。破滅の中には俺達だっているんだ。失敗や隙がないのも、それだけじゃなくいつも冷たい態度をされてるのにも、ちゃんとした理由があるんだよ…」
「分かっていながらも、やはりシルディ様を慕っているから、心のどこかで寂しく感じてしまう部分がある私達は、まだまだ甘いのね………」
「そうですね…私でさえ、ふと自分の置かれてる立場を考えると、追われてる闇に恐怖を感じます・・・・・。
それなのに、シルディ様の背にはどれ程の闇が付き纏っているかを考えるだけで、死にたくなります」
誰が考えても、芯から震え上がる恐怖をその身に纏うシルディに、何も出来ない自分達が酷く無力に感じる