「…黙れ、まだ喋るか。
お前の“願い”を聞き入れ、そのご立派な感情基(もとい)意識を残してやってるのは誰だ?」





 抑揚のない声。




「……………」


「そう、いい子だ。
残酷なのはあながち間違えではないかもしれませんね……なぁ?クレハ。」



───── 気紛れで消されたくなければ、静かにしてろ





 そう言えば、口を開く者などいない

 もちろん気配も






 シルディの耳に入るのは、遠くから聞こえる微かな叫び声のみ





「メリ―・アレッサ……綺麗な叫び声だ。
番人になど、堕ちた者に聴かせるにはもったいない」





 喉が鳴る






 ス―ツのネクタイを無造作に緩め、空を見上げる





「確かに綺麗な夜だ」





 言葉だけがその場所に残に残った