ヒヤッ・・・・





 デスクの近くにいたカウディが、一歩後ろに下がる



 シルディの強い視線が刺さるからだ






「カウディ・・貴方は頭が働くと思って仕事を任せていましたが・・・・違ったようですね。
今回の争いに参加しないと、何度同じことを言えば貴方は理解できるのですか?
・・・・それとも、首の上にあるそれはマリモですか?」



 背中に嫌な汗が流れ落ちる




「ですが…シルディ様が人間界に行って下さらなければ、旦那様がお困りになられます!」





 ドア付近に立っていたフアルクが言った





「・・・そこの2人も、フアルクと同じように思いますか?お父上がお困りになると…」





 ドア付近の残りの2人にきいた





「「 恐れながら。」」


「………ふっ、そうですか。」





 優しく笑ったシルディに、分かってもらえたとその場の者に希望が湧いた。



 だが、次にくる言葉にその希望は儚く散り、恐怖しか生み出さなかった。





「お前達は、4人も揃って頭の悪い意見しか出せないのか?」





 普段には見せない荒い口調と深く低い声で、その場の重力が重くなり、4人が苦の声をあげる





コンコンコン....ガチャ




「戻りました・・!!ッ・・」




 元老員のお見送りを終えて、戻ってきたロシ―ムが部屋に入って息を呑んだ。





「あぁ、ご苦労様。

・・・なぁ、スンネ。このヴァクロイツ公爵家の当主は誰だ?」


「つッ・・・・」





 シルディに微笑みを向けられたスンネの顔は白から青白に、体は異常なまでにカタカタと震え始める。





「困ったもんですね。
答えないということは、分からないのですか。
ロシ―ム、お前が代わりに答えてください。」





 答えられないんじゃない。
 恐怖ゆえに答えられないんだ