「シルディ公爵。
時間が迫っているので、そろそろ人間界の方に出て頂かないと・・・・・」


「・・・・・・・」



 本に向けてぃた顔を上げる





「カウディ。この方は?」



 隣に控える男に問う




「元老員のザーキット様でございます。」


「…客の名すら知らないとは言語道断。
・・・・来客の名は知っておくのが礼儀ですぞ、公爵。」



 その威厳は伊達に老いた訳ではない




「それは失礼しました。元老員…」



 一度だけ元老員に顔を向け、またカウディに向く




「今回の争いには参加しないと…カウディ、あなたに伝えましたよね?」


「・・・はい」


「なら説明してください。なぜこの方が、私のテリトリー内にいらっしゃるんですか?」


「・・・・それは、」



 言葉に詰まる



「公爵、お忘れですかな?今回の争いには、公爵にも参加していただくと決まっておる。
その者が、私を通したのは正しい選択ですよ。」


「・・・・・・・・そうですか。
ここまでわざわざご苦労様でした。・・・・ロシ―ム」



コンコン



 シルディはドア付近に並んでいた4人の内、唯一の女性に声をかけ、デスクを2回叩く




「では、ザ―キッド元老員様。わたくしロシ―ムが、お出口までご案内いたしますのでこちらへ」



 深々と頭を下げ、ドアを開け放つ




「なんと言う無礼なっ!!!
良し悪しがつかない子供の様な貴方を、お迎えに来たというのに・・・・・シルディ公爵。
争いに参加しないと言うことは、私達元老員の決定を守らないということ。
それならば、規則破りとして受けとるがよろしいですな?」




ゾワッ!!!!!!!!!


 周りが騒めきだす


「……………」




 背を向けおぞましい空気を醸し出し、ドアに向かって行く元老員にシルディは笑みを添えて一言言った。



「お気を付けて、ザ―キッド元老員。」






バタンッ!!!!!