空中ブランコ





 白い世界から見えた少女・・




 枠が金の綺麗な扇子を口を隠すように開き、その手前には先程ほど男が打った弾が一面に浮いている




 なぜだか魅力されるその光景に、男は不思議と冷静さを取り戻した。






「叉遊漓(さゆり)、彩りなさい。」




 少女に応えるかの様に、扇子に色が走り彩る。





「本当にあの子、元帥だったのか・・・」



 と、後ろから聞こえる男の声など耳には入らない




「トランプを聖者に向けて発動するのは、死に値する裏切り行為です。」


「……わかってる。
せめて、一瞬でッ・・・・・」




 男はその先程を言わなかった。



 否、言えなかった





ヒソ
《わぁお!!!速いね彼女!!》



 情報が増えた!!!とばかりに喜ぶフアルクに対し




《あ、あぁ。》



 と、驚くカウディ




 少女は一瞬で男の首を跳ねた。



 何事もなかったかのように…




 そのスピードは、バンパイア階級でも上位の者と然程変わらない速さ。



 となれば、少女からすればあの速さは歩くことと同じことなのだろう






「何をしてるの?
あなた達もさっさと戻りなさい。
このことは他言無用。言えば、あなた達の首が飛ぶと思いなさい」


「「……はい。」」





 少女に足され、残りの男達が来た道を引き返す