音楽の授業をなんとかこなして家に着いた頃には心も体もヘトヘトだった。
制服がシワになるのも気にせずベッドにもぐりこみ、そのまま深い眠りに落ちた。
翌日になっても、昨日抱いた嫌な感じは消えてくれなかった。
何事もなく1日も終わりに差し掛かる。
考え過ぎだと思い始めた矢先の事だった。
先生に頼まれた仕事が思った以上にかかってしまい1人で帰り支度をする。
辺りは薄暗く太陽はとっくに姿を隠してる。
残っているのは運動部のごくわずかな生徒だけだった。
昇降口も薄暗い。
靴に履き替えようと下駄箱に手をかけた時だった。
「星野さん、今帰り?」
突然、誰かに肩を叩かれた。
――――ッ!?
振り向くと女の子が笑ってこっちを見てる。
同じクラスの子だった。
1人で居る事が多く、周囲と関わる事を避けてる印象が強い。
あまり話した事ないけど、名前くらいは覚えてる。
でも、いつから居たんだろ…
足音しなかったような…
「あっ、うん。紺野さんは?今まで…」
私の言葉を待たずに彼女は答えた。
「星野さんを待ってたの」
私を…待ってた…なんで?
.

