「もー、泣かないの。」
真緒がハンカチを差し出してきた。私はそれを受け取り、涙を拭きとる。
でも、何度も何度も拭いても溢れる涙。たぶん、今の私の顔はぐしゃぐしゃだ。
「ごめんね。ちゃんと洗ってから返すから。」
私の涙を鼻水で汚れたハンカチ。新品みたいに綺麗だったのに。
「そんなのいいから。早く涙止めないと、お昼休み終わっちゃうよ。」
いつものようににこっと笑い、背中をさすってくれる真緒。
「ありがとう。」
真緒には今までたくさんの相談をしてきた私。仕事のことや一樹のことまで、悩みは真緒に相談してきた。
そして、たくさんの心配をかけてきた。
もっと強くならなきゃ。
溢れる涙をこらえ、仕事に戻った。
でも、仕事をしていても頭の中は一樹のことばかりだった。