ふぅーっと溜息を長めにつき、自宅を出ることをアイーダに勧告する。
天使とか好きそうな、夢みる野郎のとこに行け。正直そんな気持ち一杯で。

「なッ! 何故ですの?!」
驚愕に見開…いてるんだろう。小さな生き物は、紫の瞳をコレでもかと瞬く。
生憎、夢だと思いたがっていた俺の理性は この女に引っかかれた時に消えちまったので、追い出すこになったんだが、女は納得いかないらしい。

「あ、わかりましたわ! 先ほどの誤解を気になさっておいでなのね? 」

嬉しそうに思いついたことを発言するアイーダ。くるくるの金髪が風で揺れる。

「大丈夫ですわ! わたくし広い心を持っておりますのよ。 
あの程度、許して差し上げますわ」

「引っかかれた左頬が痛いんだが? 」

どこが広い心だ。 

「あら、つまらないことを仰る殿方だこと。そんなことでは器は知れておりますわね」

ホホホっと笑う女。頭を掻いてからその害虫を、摘み上げる。

「な、何をなさるの!? お、降ろしなさい! わたくしにこのようなまねをするなんて!!」
「あー もうー うっせぇ!!」

眉を顰めて怒鳴ると、ビクリと縮こまるアイーダ。こいつからすると大音量だろう。


「天使の昇進試験だかなんだが知れねぇが、俺の関係ねぇとこでやってくれ。
得しねぇ…つか、損するだけだなのは目に見えてるしな。
俺は害虫に付き合う義務も意思もない」