「これ、瞭くんが買ったリングですよね?」


「写真、撮っても良いですか?」


「同じ色のないんですか?」











『瞭くん』がこの店にやってきた日。

私が作った、布を編んだ小さなリングを購入し、そのまま、店員である私にプレゼントした。

もちろん、テレビカメラが回る中でのこと。

その番組が放送された翌日から、小さな雑貨店は、たくさんの『瞭くん』ファンで溢れた。

みんな、『瞭くん』が買ったリング目当て。


「美羽ちゃん、ごめん!我慢して。」


店長の静香さんが、両手を合わせ、私に頭を下げた。


「暫くしたら、きっと、静かになるから。暫くだけ!」


プレゼントされたリングは、そのまま、ディスプレイされた。