ぎゅっと抱きしめられて、ようやく唇が離れた。今度は安藤尚の胸のせいで、話せない。 「お前が急に女になるから、我慢出来なかったんだ」 耳元でささやかれる。 ガバッと顔を上げて、あたしは反論した。 「蕪木さんだっているのに!」 「あ、俺なら気にしないで!アメリカにいたら、慣れたよ。人のキスを見るのは。ははは」 頭をかきながら、蕪木さんはニコニコ笑ってる。 そうだ。 アメリカってそういうとこだ。