愛情の距離




「ナオ~!」

俺の腕に絡みつき、
何も言わない俺を引っ張る。



俺は動けない

夏奈も動けない



ふいに夏奈が口を開いた。

「あ……、ごめん!なんか、あたし…勘違い?してたんだ…
気にしないで、急にごめんね!
安藤尚、………バイバイ」



え?
勘違い?



ナンシーが離れない。
いくら腕を振っても、離れない。




「………バイバイ」



涙目になってるの、わかってるのに、
近づけない。

後ろを向いて、うつむいて歩く夏奈を、
止めたい。





「待っ……!」

「ナオ~!だれ、あの子!妹ぉ?」



ナンシーの甲高い声に邪魔されて、
回転しない俺の頭は、
言葉を出すことが





できなかった……