愛情の距離






レストランは結構いい感じ。

俺のテンションにはそぐわない雰囲気のようで、周りの目を気にしながらもトーキング。



「夏奈ちゃんって、なんで尚が好きなの?こんな男、俺なら却下。」



「てめえ……」



尚が俺を睨んだけど、俺はそんなの気にしない。

「あたしも、最初は嫌いでしたよ、安藤尚のこと。
でも、あたしを真剣に応援してくれたんです。だから、あたしは今でもボールを追いかけていられる……」



「俺は、出会う前から、夏奈のことを知ってた。興味から、恋愛感情になるのは、俺を野球に引き戻そうとしてくれたときからかな……」




尚も口を開く。

2人は目を合わせると、
幸せそうに微笑み合った。

俺にはそれが嬉しかったし、満足だった。

尚が一段と近い存在になった気がする。