「最後に逢ってから、58日ぶりだったんだぜ?長かったなぁ。」


冷蔵庫の前。

俺の首にしっかり腕を絡ませ、赤ん坊の様に泣きじゃくる。

背中を撫でてやりながら、


「嫌だったから。」


と、メモを棄てた理由を思わず明かしたふくれっつらを思い出す。

美里でいっぱいのメール。

自分の気持ちは後回しの言葉たち。

想いをのせた言葉たち。


今度は、俺から贈る番。










「今日さ、これから美里ん家、行こう。」


「………私ん家?」


涙でぐしゃぐしゃの美里が体を離して不思議そうにする。


「着替えとか身の周りのもの取ってこよ?」


「…………え?」


「引っ越し業者、呼んでも良いし?…………嫌?」