「もう、大丈夫だから。」


すっかり冷めたコーヒー。


「怒ってないから。」


ぎゅっと結んだ唇が、更に強く結ばれる。

涙こそ流れてはいないが、いつ破裂してもおかしくない瞳。

心の中で大きく深呼吸。


「美里……さっき…」


「ごめん。」


結ばれた唇からこぼれた言葉。

そして、もう一度繰り返される謝罪。


「ごめんなさい。私……」


「もう良いって。大丈夫だから。な?」


「だって……。」


ゆっくりと視線を上げ、揺れる瞳を真っ直ぐに俺に向けた。


「……………わざと…棄てた。」


「わざと…ね。」


改めて言われると、落ち着いた血圧がまた上がろうとする。