結局昨晩はしっかり眠れず、しょっちゅう起きては先生の事ばかり考えてた。



顔を洗おうとする度に、無かった事になりそうで躊躇した。
あ、もちろん、ちゃんと洗いました。



大丈夫。目を閉じれば、ちゃんとあの時の感覚がよみがえる。



思い出すと、疑問と嬉しさの間にはまる。


「……オッ、…アオッ!…」


(ホントに先生……どんな気持ちであんな事…)


「アーオーっ!!」


(……………)


「気付いて私のこの想いっ!!」



ばきっ!



肩肘ついて、物思いにふけってた私の例の事件のあった右頬に、クラスメイト兼親友(?)の奈津子の拳がめり込む。



バランスを崩し、ガタガタッと椅子から落ちた。



「なぁ〜つぅ〜こぉ〜…」


「ふう。やっと気付いたか」



我に返ったと同時に、始業前の教室のザワザワが耳に入ってくる。



「あんたねぇ!気付かせ方にも色々あるでしょ!?肩たたくとか、頭ぽんぽんするとか、くすぐるとかっ!」



立ち上がって奈津子の肩を掴み、ぐらぐら揺らす。



「それ、全部やりました」