あたしは逃げた 自分の気持ちからも…… 龍の気持ちからも…… 逃げたんだ……。 宛てもなく歩く 学校には居たくなくて、飛び出してきた ……どのくらい歩いたんだろ―… ただ無心に歩いていたせいで、足が痛い 辺りは日が段々と影ってきた 今日はお兄ちゃんが退院する日 迎えにいけなかったな―… 家に帰ればお兄ちゃんがいるはず でも今まで通りの家族では無い…… 家族じゃないんだ…… 「っ……」 ――ギュッ その時、優しく後ろから抱きしめられた 「……雫」 な、なんでここにいるの……?